共産主義の歴史戦に乗じてはならぬ
2023.08.03
昨年の7月31日、「欧米で広がる戦勝国史観の見直し」講演会&トークライブというイベントを主宰した。
1995年、アメリカ政府が政府の機密文書「ヴェノナ文書」を公開したことで、第二次世界大戦の背景に、ソ連コミンテルンによる謀略の側面もあったことが明らかになり、その後も、ソ連による秘密工作の実態を記したソ連の内部文書「ミトロヒン文書」、日本外務省による「米国共産党調書」などが公になったことで、「正義の連合国」対「邪悪な全体主義国」という従来の戦勝国史観を見直す動きが生まれており、近現代史がアップデートされている現実が現在進行形で進んでいる。
このような事実を受け、アメリカ、イギリス、そして日本の機密文書の実態と、その機密文書の公開によって、いわゆる戦勝国史観が欧米でどのように見直されているのか、最新の情勢について報告してもらおうと、評論家の江崎道朗先生と麗澤大学のジェイソン・モーガン准教授にご登壇いただき、欧米で広がっている戦勝国史観の見直しの現状と、現在進行形で行われている共産主義の脅威についてお話をいただいた。
そのイベントの中で「『共産主義という思想の存在に危機感を持って注視すること』が大切であり、日本のメディアに頼るのではなく、日々、国際政治に目を向け、世界の流れを注視することが重要である。そして、視野の狭さは国益を損なう」という先生方の言葉が、今の世の中の流れを客観的に見た時に、その共産主義の手中にのってしまった保守もいるのではないかと感じるのと同時に、自分自身の在り方が問われる時代になったと実感する。
先日、台湾との外交関係を維持する中米グアテマラのアレハンドロ・ジャマテイ大統領が、首都グアテマラ市の大統領府で読売新聞の単独インタビューに応じたとして、ジャマテイ氏は2020年の就任以来、中国から「台湾との断交」を条件に巨額のインフラ投資など様々な申し出を受けたが、いずれも拒否したことを明かした。「我々は友人(台湾)を売り渡す習慣はない」と述べ、台湾との外交関係を維持する姿勢を強調したとの報道があった。
台湾と外交関係を結ぶ13か国のうち、中南米・カリブ地域には7か国が集中し、中でもグアテマラは最大の人口や経済規模を誇る国だ。
しかし、同地域では近年、台湾と断交し、中国と国交を樹立する「断交ドミノ」が進んでおり、2017年以降、ホンジュラスなど5か国が相次いで中国にくら替えし、ジャマテイ氏は「中国は特に経済的な問題を抱えた国々を買い取っている」と指摘している。そして、「身売りするならこれ以上の買い手はない、と思わせるような申し出をたくさん受けてきた」と証言している。
昨年、江崎道朗先生、ジェイソン・モーガン先生が話され、現在進行形で動いている共産主義の脅威は、上記の中国、そして、ウクライナ侵攻をしているロシアなどに象徴されているのと同時に、日本のマスコミにも浸透しているのではないかと思うほどである。
岸田政権の経済政策などネガティブな政策が多分に行われる現実に自分も憤りを感じるが、安全保障政策などは、安倍政権でも成し得なかったことをひとつひとつ実行している現実もある。しかし、マスコミ報道はネガティブな報道ばかりが目立ち、良い成果をもたらしている情報は大きく取り上げられない。そして、ネガティブな報道は反岸田を煽り、打倒岸田政権へと国民感情を動かす。さらには、保守を分断させるような報道も見受けられる。
しかし、ちょっと待って欲しい。その情報に煽られた国民はどうするつもりなのか。自民党に反対票を投じ、野党に政権を譲り渡しても良いと思っているのか。日本維新の会に力はあるのか。国民民主党が良いのか。参政党で良いのか。それぞれ魅力がある政党かもしれない。しかし、客観的に見た時に今の日本を救えるだけの力があるのかは、私は疑問である。民主党政権時のような二の舞はまっぴらごめんだ。
と、このように、昨日まで思っていたが、仙台市議会議員選挙の結果を見て、和田政宗参議院議員が以下のような選挙結果を、8月3日のFacebookでアップしていた。
仙台市議選の開票結果を計算した。
前回に比べ得票数は、
自民 -23800
立民 -10300
共産 -10300
国民 -4900
公明 -1100
維新 +21300
参政 +11200
れいわ +3000
(いずれも前回候補者無)
※2桁以下は切り捨てて表記
※投票率下落で有効投票数-1万票
自民党は大きく得票を減らし深刻な状況。
この数字からも、前回は自民党に投票し今回は投票しなかった方々が、維新、参政へ投票したか、投票に行かなかったと分析できる。
この分析は大きく外れてはいないであろう。
今まで自民党を応援していた本来の支持者をも、自民党から距離を置くようになったのと同時に、従来の自民党支持者をも敵に回ってしまっている現実を、元に戻すといった信頼回復には、起死回生の政策がなければ、相当な時間が必要なのではないかと思う。
その自民党も一枚岩ではない。
そもそも自民党は、1955年11月15日に吉田茂党首が率いる「自由党」と、鳩山一郎が率いる「日本民主党」が合同し、自由民主党が結成されたこと。これに先立って社会党再統一が行われていたことから保守政党と革新政党のそれぞれに大政党が誕生することとなり、55年体制が成立した。そして、憲法改正を最も意欲的に実行しようとしていたのは「日本民主党」であって、宏池会の前身である「吉田学校」の親である吉田茂率いる「自由党」ではない。こうしたことからも分かるように、自民党は雑多な思想が混在した政党であって、従来あるべき、保守政党ではないと私は考えている。
しかし、LGBT法案成立の際に反対した議員がいたことでも分かるように、亡くなられた安倍晋三元首相のように、保守議員は多数存在するし、そうした保守議員を応援することを何故しないのであろうかとつくづく思うのである。マスコミのネガティブキャンペーンにズッポリと埋まってしまい、反自民党へと動く保守派に私は残念だと思う気持ちしかない。
そんな中、自民党女性局フランス研修の旅行と疑われても仕方がない写メをFacebookにアップするなど、安倍晋三元首相が亡くなってから、タガが外れたかのように色々な問題が噴き出てくるが、このように、身内から矢を引くような行動をする議員には、どうしたものかと思わざるを得ない。
それでも、私は、反日マスコミや左翼・リベラルの、民意にすり寄り、引き剥がそうとする歴史戦が展開されているという現実を忘れてはならないと思っている。そして、グアテマラのアレハンドロ・ジャマテイ大統領のように、国益のためには何が必要であるのか。共産主義の甘い誘いに乗ることなく、現実を注視しつつ、客観的に見れる視野を常に持ち続けたいと思う昨今なのである。
1995年、アメリカ政府が政府の機密文書「ヴェノナ文書」を公開したことで、第二次世界大戦の背景に、ソ連コミンテルンによる謀略の側面もあったことが明らかになり、その後も、ソ連による秘密工作の実態を記したソ連の内部文書「ミトロヒン文書」、日本外務省による「米国共産党調書」などが公になったことで、「正義の連合国」対「邪悪な全体主義国」という従来の戦勝国史観を見直す動きが生まれており、近現代史がアップデートされている現実が現在進行形で進んでいる。
このような事実を受け、アメリカ、イギリス、そして日本の機密文書の実態と、その機密文書の公開によって、いわゆる戦勝国史観が欧米でどのように見直されているのか、最新の情勢について報告してもらおうと、評論家の江崎道朗先生と麗澤大学のジェイソン・モーガン准教授にご登壇いただき、欧米で広がっている戦勝国史観の見直しの現状と、現在進行形で行われている共産主義の脅威についてお話をいただいた。
そのイベントの中で「『共産主義という思想の存在に危機感を持って注視すること』が大切であり、日本のメディアに頼るのではなく、日々、国際政治に目を向け、世界の流れを注視することが重要である。そして、視野の狭さは国益を損なう」という先生方の言葉が、今の世の中の流れを客観的に見た時に、その共産主義の手中にのってしまった保守もいるのではないかと感じるのと同時に、自分自身の在り方が問われる時代になったと実感する。
先日、台湾との外交関係を維持する中米グアテマラのアレハンドロ・ジャマテイ大統領が、首都グアテマラ市の大統領府で読売新聞の単独インタビューに応じたとして、ジャマテイ氏は2020年の就任以来、中国から「台湾との断交」を条件に巨額のインフラ投資など様々な申し出を受けたが、いずれも拒否したことを明かした。「我々は友人(台湾)を売り渡す習慣はない」と述べ、台湾との外交関係を維持する姿勢を強調したとの報道があった。
台湾と外交関係を結ぶ13か国のうち、中南米・カリブ地域には7か国が集中し、中でもグアテマラは最大の人口や経済規模を誇る国だ。
しかし、同地域では近年、台湾と断交し、中国と国交を樹立する「断交ドミノ」が進んでおり、2017年以降、ホンジュラスなど5か国が相次いで中国にくら替えし、ジャマテイ氏は「中国は特に経済的な問題を抱えた国々を買い取っている」と指摘している。そして、「身売りするならこれ以上の買い手はない、と思わせるような申し出をたくさん受けてきた」と証言している。
昨年、江崎道朗先生、ジェイソン・モーガン先生が話され、現在進行形で動いている共産主義の脅威は、上記の中国、そして、ウクライナ侵攻をしているロシアなどに象徴されているのと同時に、日本のマスコミにも浸透しているのではないかと思うほどである。
岸田政権の経済政策などネガティブな政策が多分に行われる現実に自分も憤りを感じるが、安全保障政策などは、安倍政権でも成し得なかったことをひとつひとつ実行している現実もある。しかし、マスコミ報道はネガティブな報道ばかりが目立ち、良い成果をもたらしている情報は大きく取り上げられない。そして、ネガティブな報道は反岸田を煽り、打倒岸田政権へと国民感情を動かす。さらには、保守を分断させるような報道も見受けられる。
しかし、ちょっと待って欲しい。その情報に煽られた国民はどうするつもりなのか。自民党に反対票を投じ、野党に政権を譲り渡しても良いと思っているのか。日本維新の会に力はあるのか。国民民主党が良いのか。参政党で良いのか。それぞれ魅力がある政党かもしれない。しかし、客観的に見た時に今の日本を救えるだけの力があるのかは、私は疑問である。民主党政権時のような二の舞はまっぴらごめんだ。
と、このように、昨日まで思っていたが、仙台市議会議員選挙の結果を見て、和田政宗参議院議員が以下のような選挙結果を、8月3日のFacebookでアップしていた。
仙台市議選の開票結果を計算した。
前回に比べ得票数は、
自民 -23800
立民 -10300
共産 -10300
国民 -4900
公明 -1100
維新 +21300
参政 +11200
れいわ +3000
(いずれも前回候補者無)
※2桁以下は切り捨てて表記
※投票率下落で有効投票数-1万票
自民党は大きく得票を減らし深刻な状況。
この数字からも、前回は自民党に投票し今回は投票しなかった方々が、維新、参政へ投票したか、投票に行かなかったと分析できる。
この分析は大きく外れてはいないであろう。
今まで自民党を応援していた本来の支持者をも、自民党から距離を置くようになったのと同時に、従来の自民党支持者をも敵に回ってしまっている現実を、元に戻すといった信頼回復には、起死回生の政策がなければ、相当な時間が必要なのではないかと思う。
その自民党も一枚岩ではない。
そもそも自民党は、1955年11月15日に吉田茂党首が率いる「自由党」と、鳩山一郎が率いる「日本民主党」が合同し、自由民主党が結成されたこと。これに先立って社会党再統一が行われていたことから保守政党と革新政党のそれぞれに大政党が誕生することとなり、55年体制が成立した。そして、憲法改正を最も意欲的に実行しようとしていたのは「日本民主党」であって、宏池会の前身である「吉田学校」の親である吉田茂率いる「自由党」ではない。こうしたことからも分かるように、自民党は雑多な思想が混在した政党であって、従来あるべき、保守政党ではないと私は考えている。
しかし、LGBT法案成立の際に反対した議員がいたことでも分かるように、亡くなられた安倍晋三元首相のように、保守議員は多数存在するし、そうした保守議員を応援することを何故しないのであろうかとつくづく思うのである。マスコミのネガティブキャンペーンにズッポリと埋まってしまい、反自民党へと動く保守派に私は残念だと思う気持ちしかない。
そんな中、自民党女性局フランス研修の旅行と疑われても仕方がない写メをFacebookにアップするなど、安倍晋三元首相が亡くなってから、タガが外れたかのように色々な問題が噴き出てくるが、このように、身内から矢を引くような行動をする議員には、どうしたものかと思わざるを得ない。
それでも、私は、反日マスコミや左翼・リベラルの、民意にすり寄り、引き剥がそうとする歴史戦が展開されているという現実を忘れてはならないと思っている。そして、グアテマラのアレハンドロ・ジャマテイ大統領のように、国益のためには何が必要であるのか。共産主義の甘い誘いに乗ることなく、現実を注視しつつ、客観的に見れる視野を常に持ち続けたいと思う昨今なのである。
スペシャリストとジェネラリスト
2023.07.30
映画「アポロ13号」をご存知であろうか。
1995年劇場公開された月面探査船アポロ13号爆発事故の実話を基に、絶体絶命の危機に陥った乗組員たちの救出劇をスリリングに描いた人間ドラマである。主演は船長のジェームス・ラベルを演じるトム・ハンクスであるが、この映画のもう一人の主人公が、当時、NASAの主席飛行管制官をつとめていたジーン・クランツ。エド・ハリス演じるこのリーダー、ジーン・クランツは、このアポロ13号の絶命の危機を救う。
この事故は、月に向かって飛ぶアポロ13号が、突然、酸素タンクの爆発事故を起こし、深刻な電力不足と水不足という絶望的な状況に陥ったもの。
この前代未聞の事故に遭遇し、NASAの全米でも選り抜かれたスペシャリスト集団たちは途方に暮れる状況。しかし、この専門家達の誰もが、前代未聞の事故の前で解決策が見つからず、途方に暮れる状況の中で、ジーン・クランツは強いリーダーシップを発揮し、「我々のミッションは、この3人の乗組員たちを生きて還らすことだ!」と言って、次々に発生する難問に対して専門家達の知恵を総動員し、解決策を見つけ、次々と問題を解決していく。この一人のリーダーの見事な姿は、自身のミッションを明確に定め、そのミッションの完遂まで決して諦めない姿を示してくれた。
もう一つ、別な話をしたい。
米国にノーベル経済学賞を受賞したケネス・アロー、ノーベル物理学賞のマレー・ゲルマン、同じく物理学賞のフィリップ・アンダーソンが設立した「サンタフェ研究所」という研究所がある。この研究所で働く研究者は、物理学、化学、生物学、医学、脳科学、心理学、社会心理学、人類学、文化人類学、社会学、経済学、政治学、歴史学、情報科学など、ほとんどすべての研究分野から研究者達が集まっていた。そして、この研究所は「学際的アプローチ」や「総合的アプローチ」に果敢に挑戦するスタイルを採っていて、例えば、経済学者と物理学者といった全く違った分野の専門家が一緒のテーブルに着き、専門用語の壁を超え、「複雑系」といったテーマについて、自由かつ率直に議論するといった文化を持つ。
この研究所の創設者でもある元所長のジョージ・コーワン博士は、サンタフェ研究所の将来に対し、今後、どの分野の専門家(スペシャリスト)を必要としているのか、の問いに対し、以下のように答えたという。
「この研究所には専門家(スペシャリスト)は、もう十分にいる。我々が本当に必要としているのは、それら様々な分野を、研究を『統合』する『スーパージェネラリストだ』」と。
個別の分野の「専門に知性」だけでは解決できない「学際的問題」を解決するために、個別の「専門の知性」を、その「垣根」を超えて統合する「統合の知性」が必要であり、コーワン博士が「スーパージェネラリスト」と呼んだのは、そうした「統合の知性」を持った人材のことで、それは、様々な専門分野を、その境界を超えて水平に統合する「水平統合の知性」を持った人材のことを云うのだそうだ。
多摩大学大学院名誉教授でシンクタンク・ソフィアバンク代表の田坂広志氏は「専門の知性」ではなく、「統合の知性」を持った人材、それも「水平統合の知性」ではなく「垂直統合の知性」を持った人材が必要であると言う。そして、映画「アポロ13号」で描かれたジーン・クランツの姿は、我々に求められる「知性」の在り方を象徴的に示しているというのである。
・これまで誰も経験したことが無い、前代未聞の事故。
・絶望的な極限状況に置かれた、三人の乗組員の生命。
・専門家達も解決策を見出せない、想像を絶する難題。
こうした問題を前にして、NASAの専門家達を率い、その難題に粘り強く取り組み、最終的に、それを成功裏に解決した人物。容易に答えの見つからない問いに対して決して諦めず、その問いを問い続ける「知性」を持ったジーン・クランツは「垂直統合の思考」を持っていたという。すなわち、様々なレベルでの思考を切り替えながら並行して進め、それらを瞬時に統合することができるのだというのだ。
そして、その様々な思考とは、次の「7つのレベルの思考」を指す。
①明確な「ビジョン」
②基本的な「戦略」
③具体的な「戦術」
④個別の「技術」
⑤優れた「人間力」
⑥素晴らしい「志」
⑦深い「思想」
これら「7つのレベル思考」を切り替えながら並行して進め、それらを瞬時に統合することができ、「垂直統合」の思考を身に付けていたと言うのである。
では、この「7つのレベルの思考」を身に付けるにはどうしたら良いのか。
その答えは「自己限定を捨てる」こと。
我々は、無意識に自分の思考を自分が得意だと思っている「思考レベル」に限定しておこなう傾向があり、その「自己限定」のために、自分の中に眠る「可能性」を開花させることができないで終わってしまう。自分の限界を超えることにより、「7つのレベル思考」を身に付けることができるのである。
私は、習字教室を営み、書道家という肩書も持っていることにおいては、その分野ではスペシャリストではあるが、勉強会、イベントの主催などを開催する寺子屋「玉川未来塾」主宰者の立場では、スペシャリストを講師に依頼し、それを形にするといった意味では、ジェネラリストであるかと思う。
現代社会を見ていると、それぞれの分野でのスペシャリストはたくさんいるが、ジョーン・クランツのように、客観的な視野で物事を整理し、そして、総合して物事の解決に向かって尽力するといったジェネラリストの存在はスペシャリストに対してどの程度の割合でいるのか。むしろ、少ないのではないか。
ジェネラリストの視点をもって、物事に当たることが、複雑化した現代社会にはとても必要ではないのか。そして、自己の限界を超えることこそが、人間を成長させる早道なのではないか。さらには、そうすることによって、「スーパージェネラリスト」という「垂直統合」の思考を身に付けることができ、どんな困難にも立ち向かい、解決することができるのではないか。色々な問題が湧き起こる現代だからこそ、そう思って止まない昨今である。
1995年劇場公開された月面探査船アポロ13号爆発事故の実話を基に、絶体絶命の危機に陥った乗組員たちの救出劇をスリリングに描いた人間ドラマである。主演は船長のジェームス・ラベルを演じるトム・ハンクスであるが、この映画のもう一人の主人公が、当時、NASAの主席飛行管制官をつとめていたジーン・クランツ。エド・ハリス演じるこのリーダー、ジーン・クランツは、このアポロ13号の絶命の危機を救う。
この事故は、月に向かって飛ぶアポロ13号が、突然、酸素タンクの爆発事故を起こし、深刻な電力不足と水不足という絶望的な状況に陥ったもの。
この前代未聞の事故に遭遇し、NASAの全米でも選り抜かれたスペシャリスト集団たちは途方に暮れる状況。しかし、この専門家達の誰もが、前代未聞の事故の前で解決策が見つからず、途方に暮れる状況の中で、ジーン・クランツは強いリーダーシップを発揮し、「我々のミッションは、この3人の乗組員たちを生きて還らすことだ!」と言って、次々に発生する難問に対して専門家達の知恵を総動員し、解決策を見つけ、次々と問題を解決していく。この一人のリーダーの見事な姿は、自身のミッションを明確に定め、そのミッションの完遂まで決して諦めない姿を示してくれた。
もう一つ、別な話をしたい。
米国にノーベル経済学賞を受賞したケネス・アロー、ノーベル物理学賞のマレー・ゲルマン、同じく物理学賞のフィリップ・アンダーソンが設立した「サンタフェ研究所」という研究所がある。この研究所で働く研究者は、物理学、化学、生物学、医学、脳科学、心理学、社会心理学、人類学、文化人類学、社会学、経済学、政治学、歴史学、情報科学など、ほとんどすべての研究分野から研究者達が集まっていた。そして、この研究所は「学際的アプローチ」や「総合的アプローチ」に果敢に挑戦するスタイルを採っていて、例えば、経済学者と物理学者といった全く違った分野の専門家が一緒のテーブルに着き、専門用語の壁を超え、「複雑系」といったテーマについて、自由かつ率直に議論するといった文化を持つ。
この研究所の創設者でもある元所長のジョージ・コーワン博士は、サンタフェ研究所の将来に対し、今後、どの分野の専門家(スペシャリスト)を必要としているのか、の問いに対し、以下のように答えたという。
「この研究所には専門家(スペシャリスト)は、もう十分にいる。我々が本当に必要としているのは、それら様々な分野を、研究を『統合』する『スーパージェネラリストだ』」と。
個別の分野の「専門に知性」だけでは解決できない「学際的問題」を解決するために、個別の「専門の知性」を、その「垣根」を超えて統合する「統合の知性」が必要であり、コーワン博士が「スーパージェネラリスト」と呼んだのは、そうした「統合の知性」を持った人材のことで、それは、様々な専門分野を、その境界を超えて水平に統合する「水平統合の知性」を持った人材のことを云うのだそうだ。
多摩大学大学院名誉教授でシンクタンク・ソフィアバンク代表の田坂広志氏は「専門の知性」ではなく、「統合の知性」を持った人材、それも「水平統合の知性」ではなく「垂直統合の知性」を持った人材が必要であると言う。そして、映画「アポロ13号」で描かれたジーン・クランツの姿は、我々に求められる「知性」の在り方を象徴的に示しているというのである。
・これまで誰も経験したことが無い、前代未聞の事故。
・絶望的な極限状況に置かれた、三人の乗組員の生命。
・専門家達も解決策を見出せない、想像を絶する難題。
こうした問題を前にして、NASAの専門家達を率い、その難題に粘り強く取り組み、最終的に、それを成功裏に解決した人物。容易に答えの見つからない問いに対して決して諦めず、その問いを問い続ける「知性」を持ったジーン・クランツは「垂直統合の思考」を持っていたという。すなわち、様々なレベルでの思考を切り替えながら並行して進め、それらを瞬時に統合することができるのだというのだ。
そして、その様々な思考とは、次の「7つのレベルの思考」を指す。
①明確な「ビジョン」
②基本的な「戦略」
③具体的な「戦術」
④個別の「技術」
⑤優れた「人間力」
⑥素晴らしい「志」
⑦深い「思想」
これら「7つのレベル思考」を切り替えながら並行して進め、それらを瞬時に統合することができ、「垂直統合」の思考を身に付けていたと言うのである。
では、この「7つのレベルの思考」を身に付けるにはどうしたら良いのか。
その答えは「自己限定を捨てる」こと。
我々は、無意識に自分の思考を自分が得意だと思っている「思考レベル」に限定しておこなう傾向があり、その「自己限定」のために、自分の中に眠る「可能性」を開花させることができないで終わってしまう。自分の限界を超えることにより、「7つのレベル思考」を身に付けることができるのである。
私は、習字教室を営み、書道家という肩書も持っていることにおいては、その分野ではスペシャリストではあるが、勉強会、イベントの主催などを開催する寺子屋「玉川未来塾」主宰者の立場では、スペシャリストを講師に依頼し、それを形にするといった意味では、ジェネラリストであるかと思う。
現代社会を見ていると、それぞれの分野でのスペシャリストはたくさんいるが、ジョーン・クランツのように、客観的な視野で物事を整理し、そして、総合して物事の解決に向かって尽力するといったジェネラリストの存在はスペシャリストに対してどの程度の割合でいるのか。むしろ、少ないのではないか。
ジェネラリストの視点をもって、物事に当たることが、複雑化した現代社会にはとても必要ではないのか。そして、自己の限界を超えることこそが、人間を成長させる早道なのではないか。さらには、そうすることによって、「スーパージェネラリスト」という「垂直統合」の思考を身に付けることができ、どんな困難にも立ち向かい、解決することができるのではないか。色々な問題が湧き起こる現代だからこそ、そう思って止まない昨今である。
第8回「靖國神社昇殿参拝、遊就館見学」イベントのお知らせ
2023.07.27
靖國神社は明治2年に東京招魂社として創建され、明治12年に現在の名称になりました。
幕末の戊辰戦争以降、国のために戦死した246万余人の霊がまつられており、うち213万人が大東亜戦争の死者の霊です。
昭和から平成、令和と時代が移り、戦争体験者が急速に減っている中、戦後生まれの人口が全体の8割を超え、戦争が「記憶」から「歴史」へと変わりつつあります。
今日の日本人は、「かつて日本軍は、アジア諸国を侵略し、略奪するなどをして地元の人々に大変つらい思いをさせたことを今でもアジアの諸国民は恨み続けている」と教えられた間違った歴史を今でも信じ、正しい歴史を知らない人も少なくありません。
戦後のGHQの占領政策(ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム)により、日本人の精神は骨抜きにされました。心無い事件が多発し、人のありがたみを感じない振る舞いをする人が多くなり、日本人の本来持っている「道徳心」は無くなってしまったのかと思うほど。「我々はこんな日本にするために命を賭して戦ったのではない」と英霊からの声が聞こえてきそうです。
今日の平和があるのは間違いなく、先の大戦で命を賭して戦ってくださった英霊のお陰様。先祖の尊い犠牲があったからこそ、今日の平和があるのです。
そのような思いから、国のために尊い命をささげた先人を弔い、戦没者慰霊の中心施設である靖國神社に昇殿参拝し、英霊に感謝の誠を捧げたいと思います。そして、靖國神社職員による講演を聞き、遊就館を見学することにより、今日の学校教育とは違った視点から歴史を学び、心から平和を祈ることを目的に、本イベントを平成28年から実施してきました。
国のために尊い命をささげた先祖を弔い、心から平和を祈る戦没者慰霊の中心施設である靖國神社に昇殿参拝し、英霊に感謝をして、そして遊就館を見学することによって今日の学校教育とは違った視点から歴史を学ぶことを目的に今年も以下の通り実施いたします。
【日時】令和5年8月26日(土)
12時受付開始、13時昇殿参拝、13時30分講演開始、14時30分閉会予定
閉会後、遊就館自由拝観
【会場】靖國神社参集殿(講演会場は参集殿2階)及び遊就館(東京都千代田区九段北3-1-1)
JR
・中央・総武線各駅停車「飯田橋駅(西口)」、「市ヶ谷駅」より徒歩(約10分)
地下鉄
・東西線/半蔵門線/都営新宿線「九段下駅(出口1)」より徒歩(約5分)
・有楽町線/南北線/都営新宿線「市ヶ谷駅(A4出口)」より徒歩(約10分)
・東西線/有楽町線/南北線「飯田橋駅(A2出口、A5出口)」より徒歩(約10分)
【内容】1)昇殿参拝
2)講演「次代へ繋ぐ英霊の思い」(60分)講師:松本聖吾氏(靖國神社禰宜・総務部長)
3)遊就館自由拝観
【参加費】大人 3,000円、小・中・高校生 2,000円(玉串料・遊就館拝観料含む)
※小・中学生は保護者同伴
【申込み方法】下記、いずれかの方法でお申し込みください。
※定員100名に達し次第、締め切り(先着順)
① 右記URLの専用申込フォーム:https://docs.google.com/forms/d/12hYOvOzcgee-qJCAM6yyoqLRkDwlbI1b8eUKyQdAK68/edit
② FAX・はがき:「靖國神社イベント」と明記の上、住所・氏名(ふりがな)・電話番号・ チケット種別と希望枚数をご記入の上、下記連絡先へ送付
〔連絡先〕
寺子屋「玉川未来塾」 代表 玉川博一
〒196-0022 昭島市中神町1136-19
TEL・FAX 042-519-7101
E-mail tamagawamiraijuku@gmail.com
※お申し込み後、約1週間以内に「入場予約券」をお送りいたします。
※「入場予約券」に、入場料の振込方法等を記載しておりますので、ご確認の上、事前にお振り込みください。
※当日は、受付に「入場予約券」をご提示ください。「入場券」と「遊就館拝観チケット」をお渡しいたします。
【主催】寺子屋「玉川未来塾」
※記載していただいた個人情報は、入場予約券などのチケット、および主催するほかのイベントの案内などの郵送以外には使用しません。取得した個人情報は管理責任者を定め、紛失や漏洩などが発生しないよう積極的な安全対策を実施いたします。
そして、以前にも記した内容ではあるが、今一度、再認識をすべく、以下の通り記したい。
>正論創刊30年記念臨時増刊「靖国と日本人の心」の中で、中西輝政京都大学名誉教授が「靖国神社と日本人の精神」との題で論文を掲載している。
その中で民俗学者の柳田国男氏の「先祖の話」に触れ、以下のように記している。
「独身のまま国に命を捧げた兵士たち(中略)のことを国は放置し得るのであろうか。すでに昭和20年4月に柳田国男が『先祖の話』という本の中でこのことの深刻な意味を指摘している。この人たちは子供を残さないまま亡くなった、つまり祀ってくれる子孫を残さないまま殉じているのである。また日本が将来再び国家存立の危機に陥ったとき、自己を犠牲にしてでも立ち上がろうとする者の現出を願うならば、国は彼らを放置しておけないはずである。国家と国民の安全を守るため特別に危険な任務に就いてくれる人々には、最大限の敬意を払うことが国として伝統あるいは責務として確立しているべきなのである。靖国神社を国のために命を捧げた人々のための、つまり戦没者慰霊の中心施設として今後も長く護り抜くことは、国家安全保障政策上の第一級の重要課題でもあるのだ」。
また、さらに以下のように続く。
「そして何よりも、国のために力を尽くし、命を捧げた人々を感謝の心をもって崇め、子々孫々、『私たちを見守ってください、日本を守ってください』という素直な気持ちで頭を垂れることができる、そういう場所がいままでこの国に残されてきたことは、何にも代え難い日本の財産なのである。家族や郷士、そして国のために人間が尽くす自己犠牲の尊さ、そういう精神を日本人がもう一度取り戻し、若い世代に継承していくためにも、靖国神社ほど大切な存在はないということに、今こそ日本人は気づくときなのである」。
十年以上も前の論文であるが、今でもなお通ずる内容である。今一度噛み締めたい。
イベントにはぜひ、皆様方のお越しを心よりお待ち申し上げます。
幕末の戊辰戦争以降、国のために戦死した246万余人の霊がまつられており、うち213万人が大東亜戦争の死者の霊です。
昭和から平成、令和と時代が移り、戦争体験者が急速に減っている中、戦後生まれの人口が全体の8割を超え、戦争が「記憶」から「歴史」へと変わりつつあります。
今日の日本人は、「かつて日本軍は、アジア諸国を侵略し、略奪するなどをして地元の人々に大変つらい思いをさせたことを今でもアジアの諸国民は恨み続けている」と教えられた間違った歴史を今でも信じ、正しい歴史を知らない人も少なくありません。
戦後のGHQの占領政策(ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム)により、日本人の精神は骨抜きにされました。心無い事件が多発し、人のありがたみを感じない振る舞いをする人が多くなり、日本人の本来持っている「道徳心」は無くなってしまったのかと思うほど。「我々はこんな日本にするために命を賭して戦ったのではない」と英霊からの声が聞こえてきそうです。
今日の平和があるのは間違いなく、先の大戦で命を賭して戦ってくださった英霊のお陰様。先祖の尊い犠牲があったからこそ、今日の平和があるのです。
そのような思いから、国のために尊い命をささげた先人を弔い、戦没者慰霊の中心施設である靖國神社に昇殿参拝し、英霊に感謝の誠を捧げたいと思います。そして、靖國神社職員による講演を聞き、遊就館を見学することにより、今日の学校教育とは違った視点から歴史を学び、心から平和を祈ることを目的に、本イベントを平成28年から実施してきました。
国のために尊い命をささげた先祖を弔い、心から平和を祈る戦没者慰霊の中心施設である靖國神社に昇殿参拝し、英霊に感謝をして、そして遊就館を見学することによって今日の学校教育とは違った視点から歴史を学ぶことを目的に今年も以下の通り実施いたします。
【日時】令和5年8月26日(土)
12時受付開始、13時昇殿参拝、13時30分講演開始、14時30分閉会予定
閉会後、遊就館自由拝観
【会場】靖國神社参集殿(講演会場は参集殿2階)及び遊就館(東京都千代田区九段北3-1-1)
JR
・中央・総武線各駅停車「飯田橋駅(西口)」、「市ヶ谷駅」より徒歩(約10分)
地下鉄
・東西線/半蔵門線/都営新宿線「九段下駅(出口1)」より徒歩(約5分)
・有楽町線/南北線/都営新宿線「市ヶ谷駅(A4出口)」より徒歩(約10分)
・東西線/有楽町線/南北線「飯田橋駅(A2出口、A5出口)」より徒歩(約10分)
【内容】1)昇殿参拝
2)講演「次代へ繋ぐ英霊の思い」(60分)講師:松本聖吾氏(靖國神社禰宜・総務部長)
3)遊就館自由拝観
【参加費】大人 3,000円、小・中・高校生 2,000円(玉串料・遊就館拝観料含む)
※小・中学生は保護者同伴
【申込み方法】下記、いずれかの方法でお申し込みください。
※定員100名に達し次第、締め切り(先着順)
① 右記URLの専用申込フォーム:https://docs.google.com/forms/d/12hYOvOzcgee-qJCAM6yyoqLRkDwlbI1b8eUKyQdAK68/edit
② FAX・はがき:「靖國神社イベント」と明記の上、住所・氏名(ふりがな)・電話番号・ チケット種別と希望枚数をご記入の上、下記連絡先へ送付
〔連絡先〕
寺子屋「玉川未来塾」 代表 玉川博一
〒196-0022 昭島市中神町1136-19
TEL・FAX 042-519-7101
E-mail tamagawamiraijuku@gmail.com
※お申し込み後、約1週間以内に「入場予約券」をお送りいたします。
※「入場予約券」に、入場料の振込方法等を記載しておりますので、ご確認の上、事前にお振り込みください。
※当日は、受付に「入場予約券」をご提示ください。「入場券」と「遊就館拝観チケット」をお渡しいたします。
【主催】寺子屋「玉川未来塾」
※記載していただいた個人情報は、入場予約券などのチケット、および主催するほかのイベントの案内などの郵送以外には使用しません。取得した個人情報は管理責任者を定め、紛失や漏洩などが発生しないよう積極的な安全対策を実施いたします。
そして、以前にも記した内容ではあるが、今一度、再認識をすべく、以下の通り記したい。
>正論創刊30年記念臨時増刊「靖国と日本人の心」の中で、中西輝政京都大学名誉教授が「靖国神社と日本人の精神」との題で論文を掲載している。
その中で民俗学者の柳田国男氏の「先祖の話」に触れ、以下のように記している。
「独身のまま国に命を捧げた兵士たち(中略)のことを国は放置し得るのであろうか。すでに昭和20年4月に柳田国男が『先祖の話』という本の中でこのことの深刻な意味を指摘している。この人たちは子供を残さないまま亡くなった、つまり祀ってくれる子孫を残さないまま殉じているのである。また日本が将来再び国家存立の危機に陥ったとき、自己を犠牲にしてでも立ち上がろうとする者の現出を願うならば、国は彼らを放置しておけないはずである。国家と国民の安全を守るため特別に危険な任務に就いてくれる人々には、最大限の敬意を払うことが国として伝統あるいは責務として確立しているべきなのである。靖国神社を国のために命を捧げた人々のための、つまり戦没者慰霊の中心施設として今後も長く護り抜くことは、国家安全保障政策上の第一級の重要課題でもあるのだ」。
また、さらに以下のように続く。
「そして何よりも、国のために力を尽くし、命を捧げた人々を感謝の心をもって崇め、子々孫々、『私たちを見守ってください、日本を守ってください』という素直な気持ちで頭を垂れることができる、そういう場所がいままでこの国に残されてきたことは、何にも代え難い日本の財産なのである。家族や郷士、そして国のために人間が尽くす自己犠牲の尊さ、そういう精神を日本人がもう一度取り戻し、若い世代に継承していくためにも、靖国神社ほど大切な存在はないということに、今こそ日本人は気づくときなのである」。
十年以上も前の論文であるが、今でもなお通ずる内容である。今一度噛み締めたい。
イベントにはぜひ、皆様方のお越しを心よりお待ち申し上げます。