中国の脅威「尖閣奪取」は本気であることを我々は心底理解しなくてはならない
2021.07.17
先般、麻生太郎副総理兼財務相が講演で、「台湾で大きな問題が起きれば『(集団的自衛権行使を可能とする安全保障関連法の)存立危機事態に関係する』と言ってもおかしくない。日米で台湾を防衛しなければならない」と語ったことが波紋を広げており、日本政府は表向き沈黙を装っているが、蔡英文総統の台湾は歓迎し、習近平国家主席主導で軍事的覇権拡大を進める中国は反発している。
皆さんはこの発言を如何みるか。多くの読者の方々は「当然だ!」と声高らかに答えるだろう。私も至極真っ当な発言だと解釈する。今回の麻生発言への反発が国内でほとんど見られないのも、同じ思いの国民が多いからだと思うのだ。しかし、麻生氏は言葉で平和のために戦っていると言っているが、防衛費の思い切った増額とロジスティクス能力向上を主導することを政権に求めたい。
しかし、重要なのは、今この時期に、この発言をしなくてはいけない日本の領土、安全保障上の問題なのである。
注目発言は、沖縄選出の自民党議員が5日、都内で開いたパーティーでの講演で披露されたとの報道だが、麻生氏は、台北市でのデモや騒動に中国が軍隊を派遣して「中国の内政問題だ」と主張する有事シナリオを紹介。そのうえで、「次は沖縄。そういうことを真剣に考えないといけない」と強調。「日本を防衛する力をきちっと準備しないといけない」とも訴えたとのことだ。
この発言について、私は別な会合で防衛省・自衛隊OBから同様の話を聞いている。その内容は、もう少し具体的で、生々しい内容だった。と言うのも「最悪のケースで言うなれば、『台湾有事、尖閣奪取』は2027年」ということであった。
2020年10月、共産党の第19期中央委員会第5回全体会議(5中全会)で採択した第14次5カ年計画(2021~25年)と35年までの長期目標に関する基本方針の全文を明らかにしたが、それによると、軍創立100年に当たる27年に「奮闘目標を実現する」と定めたとしている。それは、戦争があることを前提とした「建軍100年奮闘目標」であるということである。強軍路線は規定路線とはいえ、なぜ2027年に新たに目標を設置したのか。
目標期限を2027年とした理由だが、1つは言うまでもなく建軍の年が1927年だからだ。
これはジャーナリストの福島香織氏の情報を引用させていただくが、人民解放軍は1927年の「南昌起義」と呼ばれる武装蜂起で誕生した革命軍が基礎になっており、この頃はゲリラに過ぎなかったのが、戦闘を継続していくことで軍隊としての正統性を確立していった。共産党も元々は国民党政権下で「共匪」と呼ばれたゲリラ集団であったが、国民党政権に打ち勝ったからこそ、その執政党としての正統性を確立できたのである。共産党政権は銃口から生まれた政権であり、ゲリラ戦法で勝利を重ね続けてきたからその正統性を人民が認めてきた。つまり、どんな手を使ってでも戦争に勝利することは、共産党政権にとってその正統性を証明する最も有効な方法なのだ。
まず、この5中全会で初めて打ち出された「建軍100年奮闘目標」とは具体的にどういうことなのか。「全面的に戦争に備え練兵教科を行い、国家主権、安全、発展利益を防衛する戦略能力を高め、2027年に建軍100年奮闘目標の実現を確実にすること」と説明があるように、「戦争がある」という前提に立った強軍化戦略である。そしてこれは、「建党100年」(2021年)と「建国100年」(2049年)という2つの100年目標に加わる、3つ目の100年目標である。「建軍100年奮闘目標」を打ち出したのは、中国人民解放軍が党と国家に服従し奉仕する軍隊であることを強調し、同時に「今後の特殊で複雑な環境に対応していく」ことが狙いだということだ。
中国の基本的な戦い方は「孫子の兵法 謀攻編」の「戦わずして勝つ!」である。
『孫子曰く、凡そ用兵の法は、国を全うするを上と為し、国を破るは之に次ぐ。』
「孫子は言う。基本的に、戦争においては、敵国を保全した状態で傷つけずに攻略するのが上策であり、敵国を撃ち破って勝つのは次善の策である。」
『軍を全うするを上と為し、軍を破るは之に次ぐ。旅を全うするを上と為し、旅を破るは之に次ぐ。卒を全うするを上と為し、卒を破るは之に次ぐ。伍を全うするを上と為し、伍を破るは之に次ぐ。』
「敵の軍団を無傷のままで降伏させるのが上策であり、敵軍を撃破するのは次善の策である。敵の旅団を無傷のまま手に入れるのが上策であり、旅団を壊滅させてしまうのは次善の策である。敵の大隊を無傷で降伏させるのが上策であり、大隊を打ち負かすのは次善の策である。敵の小隊を保全して降伏させるのが上策であり、小隊を打ち負かすのは次善の策である。」
『是の故に、百戦百勝は、善の善なる者に非るなり。戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり。』
「したがって、百回戦って、百回勝利を収めたとしても、それは最善の策とは言えない。実際に戦わずに、敵を屈服させるのが最善の策である。」
日本と米国の仲を悪くして、漁夫の利を得る「戦わずして勝つ!」作戦であるが、中国は更に強軍思想、強軍戦略に舵を思い切り切ってきているのである。
習近平は毛沢東を越える存在として君臨したいと考えているのは周知のとおりであるが、毛沢東が成し得なかった事実を作り上げることに躍起である。そのためには戦争も辞さず、毛沢東をも成し得なかった台湾侵攻は必然で、習近平が第二の毛沢東になるには成果が必要なのである。そして、台湾侵攻と尖閣諸島奪取は不可分であり、そのタイミングは北京オリンピック終了後であることの可能性が非常に高いと、前出の防衛省・自衛隊OBは言う。
2014年、ロシアがクリミア半島併合を成し遂げた手法などを参考にしているという。それは、サイバー攻撃で通信系を遮断し、ウクライナ危機の際に現れたロシア軍の武器と装備品を装備した徽章を付けていない覆面兵士=リトル・グリーンメンが占領し、ウクライナ進行は成し遂げた。習近平はこれを手本としているというのである。2014年という年はソチオリンピック実施の年。クリミア併合はこのオリンピック成功後に行われている。よって、北京オリンピックの成功は必至で、その後に、台湾侵攻、尖閣奪取の実施を考えているというものである。
こういった現実、起こりうる状況を鑑みると、前出の麻生太郎副総理兼財務相の発言はわざとかな?とも思うが、いずれにしても、中国の台湾侵攻、尖閣諸島奪取は本気であることを我々は強く認識すべきである。
今後、日本はどう対応すべきなのか。
前出の防衛省・自衛隊OB曰く、「国会議員や国民の危機意識の向上は第一。そして、憲法改正は言うまでもないが、いつ憲法改正されるか、それまで待てない状況なので、今できる手段として、領海警備法制定、海上保安庁法、自衛隊法、事態対処法の改正などの法整備が必要だという。そして、施政権の顕示、政府としての防衛対処方針の明確化、対処能力の向上、対艦ミサイルベルトの構築、そして、高出力マイクロ波兵器の開発」と発言が続いた。
マイケル・ピルズベリー著『China2049』にも書かれているように「過去100年に及ぶ屈辱に復讐すべく、中国共産党革命100周年にあたる2049年までに世界の経済・軍事・政治のリーダーの地位をアメリカから奪取する」というもので、共産党指導者は、そのゴールは復讐、つまり外国が中国に味あわせた過去の屈辱を「清算」することであって、その計画はしたたかに着々と進行しており、日清戦争に負けたとする日本もその例外ではない。「中国が覇権国になることはない」と繰り返し言い続ける人がいるが、実質リアルに見ていくと、金の力によって、中国に屈服している者たちが如何に多いか、報道で知ることができるであろう。「世界の国々も」「大手企業も」だ。中国は本気なのである。
日本国内でも、半導体産業の脆弱化、北海道土地買い占め問題のみならず、横浜をはじめとする新潟や京都などへの不動産介入、大学における孔子学院設立など、様々な方策で日本を貶めるべく手段・方法を取り、実行してきている。そして、中国海警局による尖閣諸島侵犯などは最たるもので、中国が海警局に武器の使用を認めた「海警法」が施行されたことは、本気度をうかがわせる。中国は確実に日本を貶める手段をしたたかに着々と進めている。そこに気づかないでいる日本国民がいることも事実であり、今回はこの危機意識を共有すべく、警鐘を鳴らしたいという思いも込めて筆を執った次第である。ご笑覧いただいたら幸いである。
皆さんはこの発言を如何みるか。多くの読者の方々は「当然だ!」と声高らかに答えるだろう。私も至極真っ当な発言だと解釈する。今回の麻生発言への反発が国内でほとんど見られないのも、同じ思いの国民が多いからだと思うのだ。しかし、麻生氏は言葉で平和のために戦っていると言っているが、防衛費の思い切った増額とロジスティクス能力向上を主導することを政権に求めたい。
しかし、重要なのは、今この時期に、この発言をしなくてはいけない日本の領土、安全保障上の問題なのである。
注目発言は、沖縄選出の自民党議員が5日、都内で開いたパーティーでの講演で披露されたとの報道だが、麻生氏は、台北市でのデモや騒動に中国が軍隊を派遣して「中国の内政問題だ」と主張する有事シナリオを紹介。そのうえで、「次は沖縄。そういうことを真剣に考えないといけない」と強調。「日本を防衛する力をきちっと準備しないといけない」とも訴えたとのことだ。
この発言について、私は別な会合で防衛省・自衛隊OBから同様の話を聞いている。その内容は、もう少し具体的で、生々しい内容だった。と言うのも「最悪のケースで言うなれば、『台湾有事、尖閣奪取』は2027年」ということであった。
2020年10月、共産党の第19期中央委員会第5回全体会議(5中全会)で採択した第14次5カ年計画(2021~25年)と35年までの長期目標に関する基本方針の全文を明らかにしたが、それによると、軍創立100年に当たる27年に「奮闘目標を実現する」と定めたとしている。それは、戦争があることを前提とした「建軍100年奮闘目標」であるということである。強軍路線は規定路線とはいえ、なぜ2027年に新たに目標を設置したのか。
目標期限を2027年とした理由だが、1つは言うまでもなく建軍の年が1927年だからだ。
これはジャーナリストの福島香織氏の情報を引用させていただくが、人民解放軍は1927年の「南昌起義」と呼ばれる武装蜂起で誕生した革命軍が基礎になっており、この頃はゲリラに過ぎなかったのが、戦闘を継続していくことで軍隊としての正統性を確立していった。共産党も元々は国民党政権下で「共匪」と呼ばれたゲリラ集団であったが、国民党政権に打ち勝ったからこそ、その執政党としての正統性を確立できたのである。共産党政権は銃口から生まれた政権であり、ゲリラ戦法で勝利を重ね続けてきたからその正統性を人民が認めてきた。つまり、どんな手を使ってでも戦争に勝利することは、共産党政権にとってその正統性を証明する最も有効な方法なのだ。
まず、この5中全会で初めて打ち出された「建軍100年奮闘目標」とは具体的にどういうことなのか。「全面的に戦争に備え練兵教科を行い、国家主権、安全、発展利益を防衛する戦略能力を高め、2027年に建軍100年奮闘目標の実現を確実にすること」と説明があるように、「戦争がある」という前提に立った強軍化戦略である。そしてこれは、「建党100年」(2021年)と「建国100年」(2049年)という2つの100年目標に加わる、3つ目の100年目標である。「建軍100年奮闘目標」を打ち出したのは、中国人民解放軍が党と国家に服従し奉仕する軍隊であることを強調し、同時に「今後の特殊で複雑な環境に対応していく」ことが狙いだということだ。
中国の基本的な戦い方は「孫子の兵法 謀攻編」の「戦わずして勝つ!」である。
『孫子曰く、凡そ用兵の法は、国を全うするを上と為し、国を破るは之に次ぐ。』
「孫子は言う。基本的に、戦争においては、敵国を保全した状態で傷つけずに攻略するのが上策であり、敵国を撃ち破って勝つのは次善の策である。」
『軍を全うするを上と為し、軍を破るは之に次ぐ。旅を全うするを上と為し、旅を破るは之に次ぐ。卒を全うするを上と為し、卒を破るは之に次ぐ。伍を全うするを上と為し、伍を破るは之に次ぐ。』
「敵の軍団を無傷のままで降伏させるのが上策であり、敵軍を撃破するのは次善の策である。敵の旅団を無傷のまま手に入れるのが上策であり、旅団を壊滅させてしまうのは次善の策である。敵の大隊を無傷で降伏させるのが上策であり、大隊を打ち負かすのは次善の策である。敵の小隊を保全して降伏させるのが上策であり、小隊を打ち負かすのは次善の策である。」
『是の故に、百戦百勝は、善の善なる者に非るなり。戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり。』
「したがって、百回戦って、百回勝利を収めたとしても、それは最善の策とは言えない。実際に戦わずに、敵を屈服させるのが最善の策である。」
日本と米国の仲を悪くして、漁夫の利を得る「戦わずして勝つ!」作戦であるが、中国は更に強軍思想、強軍戦略に舵を思い切り切ってきているのである。
習近平は毛沢東を越える存在として君臨したいと考えているのは周知のとおりであるが、毛沢東が成し得なかった事実を作り上げることに躍起である。そのためには戦争も辞さず、毛沢東をも成し得なかった台湾侵攻は必然で、習近平が第二の毛沢東になるには成果が必要なのである。そして、台湾侵攻と尖閣諸島奪取は不可分であり、そのタイミングは北京オリンピック終了後であることの可能性が非常に高いと、前出の防衛省・自衛隊OBは言う。
2014年、ロシアがクリミア半島併合を成し遂げた手法などを参考にしているという。それは、サイバー攻撃で通信系を遮断し、ウクライナ危機の際に現れたロシア軍の武器と装備品を装備した徽章を付けていない覆面兵士=リトル・グリーンメンが占領し、ウクライナ進行は成し遂げた。習近平はこれを手本としているというのである。2014年という年はソチオリンピック実施の年。クリミア併合はこのオリンピック成功後に行われている。よって、北京オリンピックの成功は必至で、その後に、台湾侵攻、尖閣奪取の実施を考えているというものである。
こういった現実、起こりうる状況を鑑みると、前出の麻生太郎副総理兼財務相の発言はわざとかな?とも思うが、いずれにしても、中国の台湾侵攻、尖閣諸島奪取は本気であることを我々は強く認識すべきである。
今後、日本はどう対応すべきなのか。
前出の防衛省・自衛隊OB曰く、「国会議員や国民の危機意識の向上は第一。そして、憲法改正は言うまでもないが、いつ憲法改正されるか、それまで待てない状況なので、今できる手段として、領海警備法制定、海上保安庁法、自衛隊法、事態対処法の改正などの法整備が必要だという。そして、施政権の顕示、政府としての防衛対処方針の明確化、対処能力の向上、対艦ミサイルベルトの構築、そして、高出力マイクロ波兵器の開発」と発言が続いた。
マイケル・ピルズベリー著『China2049』にも書かれているように「過去100年に及ぶ屈辱に復讐すべく、中国共産党革命100周年にあたる2049年までに世界の経済・軍事・政治のリーダーの地位をアメリカから奪取する」というもので、共産党指導者は、そのゴールは復讐、つまり外国が中国に味あわせた過去の屈辱を「清算」することであって、その計画はしたたかに着々と進行しており、日清戦争に負けたとする日本もその例外ではない。「中国が覇権国になることはない」と繰り返し言い続ける人がいるが、実質リアルに見ていくと、金の力によって、中国に屈服している者たちが如何に多いか、報道で知ることができるであろう。「世界の国々も」「大手企業も」だ。中国は本気なのである。
日本国内でも、半導体産業の脆弱化、北海道土地買い占め問題のみならず、横浜をはじめとする新潟や京都などへの不動産介入、大学における孔子学院設立など、様々な方策で日本を貶めるべく手段・方法を取り、実行してきている。そして、中国海警局による尖閣諸島侵犯などは最たるもので、中国が海警局に武器の使用を認めた「海警法」が施行されたことは、本気度をうかがわせる。中国は確実に日本を貶める手段をしたたかに着々と進めている。そこに気づかないでいる日本国民がいることも事実であり、今回はこの危機意識を共有すべく、警鐘を鳴らしたいという思いも込めて筆を執った次第である。ご笑覧いただいたら幸いである。
76回目の「沖縄戦終結の日」に思うこと
2021.06.24
6月23日は沖縄戦終結の日。
沖縄戦は、沖縄の慶良間諸島に米軍が上陸した昭和20年3月26日から沖縄本島での組織的戦闘が終結する6月23日まで、日本軍将兵と県民約18万8千人が亡くなり、米軍も1万2千人以上が戦死した戦いです。
私は思うところがあって、その当日は「映画『ひめゆり』」を観てきました。
2006年作品のドキュメンタリー映画で、10人程の実際の体験者の方々の話が主となります。
その体験談は思わず悲惨さ故、唸ってしまうものもありますが、数人の方の証言に「???」と感じて仕方がなかった場面がありました。
私の感想としては戦後プロパガンダが多分に含まれた作品であったというのが率直なところです。それは、私が見聞きした話と違う内容が、体験談の中に刷り込まれており、何の違和感もなく刷り込まれていました。
私は「はだしのゲン」「白旗の少女」「火垂るの墓」なども読みましたし、「はだしのゲン」に至っては、小学校で開催された実写版の映画も観ました。そちら系の書籍も読んでおりましたが、1995年にヴェノナ文書が世に出、世界に登場してから、今までに学んできた歴史の事実に疑問を抱き、「『ザ・レイプ・オブ・南京』の真実」「月刊・別冊正論」「閉ざされた言語空間」「ヴェノナ」「ミトロフィン文書」「レフチェンコ事件」「大東亜戦争への道」等を読み、そして、江崎道朗先生の書籍と出会ってから、考えが一変したのも過去15年前後の話です。そして、産経新聞社正論調査室に勤務してから、その考えは、確実なものとして現在に至っています。
大東亜戦争に負けた日本が二度とアメリカに立ち向かわないよう、GHQによる戦後占領政策「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」は日本を骨抜きにしました。面々と受け継がれてきた歴史、精神、道徳、伝統や日本人の愛国心を破壊し尽くすことにアメリカ人がいかに本気で取り組んだのか。それは今もなお「東京裁判史観」として生き続いています。
「戦後プロパガンダの刷り込みは現在にも生きている」
考え方は人それぞれなので、その思想的な部分は何とも言えませんし、論じません。
しかし、少なくとも私は「映画『ひめゆり』」を懐疑的に観、悶々とした気持ちで帰宅しました。
片方面の見方だけではなく、もう一方の側面から見ることも大切です。
そういった意味では、在職中に企画し、運営した「大東亜戦争を語り継ぐ会」で元軍人の方からの実際の体験談を聞いた経験、そして、それを元に色々と書籍を読んだ経験は自分にとって、計り知れないものがあります。
このたび、8月21日(土)、6回目となります「靖國神社昇殿参拝、遊就館見学」イベントを開催します。
東京・九段の靖国神社は、明治2年に東京招魂社として創建され、明治12年に現在の名称になりました。幕末の戊辰戦争以降、国のために戦死した246万余人の霊がまつられています。うち213万人が大東亜戦争の死者の霊です。靖国神社を「軍国主義の象徴」「戦争賛美の神社」などととらえる見方がありますが、決してそのような神社ではありません。国のために尊い命をささげた先祖を弔い、心から平和を祈る戦没者慰霊の中心施設です。先祖の尊い犠牲があったからこそ、今日の平和があることを私たちは実感する必要があると考えます。
内閣府による子供達の自己肯定観の国際比較によると日本は毎回最低で、先進諸国と比べると異常な低さという調査結果が出ています。この異様な低さは、教師の歴史観や国家観、間違った歴史教育が原因です。反対に、正しい歴史教育によって先人に感謝し祖国を誇りに思うようになると、自己肯定観は高くなります。歴史教育が「自分はあるがままで価値がある」「自分が生まれてきたことには意味がある」という思いを育てるからです。
私は、ご先祖様がいてくれたから「私がいる、日本という国がある、日本人としての私がいる」ということを実感し、歴史はご先祖様がつくった日本という国の「国づくり」の歩みだということを認識するべきだと思っています。そして、私達は膨大な数の「命のバトン」を受け継いで、今ここに生きているのです。
戦争で尊いたくさんの兵隊さんが亡くなりました。もし、自分のご先祖様が大東亜戦争をはじめ、過去の戦争で亡くなっていたならば、今ここに自分は存在しません。今ここに存在しているのは、自分のご先祖様の代わりに命を捧げて戦ってくれた先人のお陰様です。自分のご先祖様を供養することはもちろんですが、先人に感謝することも大切なことだと思うのです。
今日の平和な日本があるのは、先の大戦で命を賭して戦ってくれた先人のお陰様。私の祖父も戦争経験者で、生きて日本に帰ってきました。祖父が生きて帰って来なければ、今の私は存在しません。人様からどんなに言われようと、私の中ではこの事実は変わりません。もしかしたら、祖父に変わって戦地最前線で戦って亡くなった方がいたかもしれない。その英霊に感謝の気持ちを捧げることは私にとっては当たり前のことです。そして、遊就館に展示されている学校では教えない、違った側面からの「歴史の真実」に触れていただきたいと思うのです。
そんな思いから6年前から個人的に開催しました。そして、今回は「英霊と沖縄戦」と題した、靖國神社職員の方のお話を聞かせていただきます。その話は「驚き」と「衝撃」を受けるでしょう。それは、ここで言うなれば「映画『ひめゆり』」とは違う、それも実際の経験者からの取材と体験、経験の中で培っている「真実」があるからです。
「靖國神社は色々と問題があるから行ってはいけないところ」と思っていた後輩がいました。私は説得をし、実際に連れていき、本殿において昇殿参拝をし、そして一緒に遊就館を見学しました。後輩曰く「その時は計り知れない衝撃を受けました。今では、過去の見方は偏った見方であった」と証言しています。
「鯛の目、比良魚の目」で見、両方の考え方に触れ、その結果どうするかは、その参加者個人の問題です。
私は今回も参加者皆様と一緒に英霊に対する感謝の気持ちを捧げ、歴史の真実に触れ、そして、気付きを感じていただきたい。そう思って今回も企画します。
申込受付は別件の仕事がクリアし次第、7月1日からとさせていただきます。申込受付の際は、改めて詳細を告知いたします。
参加される皆様に気付きが与えられますように。
沖縄戦は、沖縄の慶良間諸島に米軍が上陸した昭和20年3月26日から沖縄本島での組織的戦闘が終結する6月23日まで、日本軍将兵と県民約18万8千人が亡くなり、米軍も1万2千人以上が戦死した戦いです。
私は思うところがあって、その当日は「映画『ひめゆり』」を観てきました。
2006年作品のドキュメンタリー映画で、10人程の実際の体験者の方々の話が主となります。
その体験談は思わず悲惨さ故、唸ってしまうものもありますが、数人の方の証言に「???」と感じて仕方がなかった場面がありました。
私の感想としては戦後プロパガンダが多分に含まれた作品であったというのが率直なところです。それは、私が見聞きした話と違う内容が、体験談の中に刷り込まれており、何の違和感もなく刷り込まれていました。
私は「はだしのゲン」「白旗の少女」「火垂るの墓」なども読みましたし、「はだしのゲン」に至っては、小学校で開催された実写版の映画も観ました。そちら系の書籍も読んでおりましたが、1995年にヴェノナ文書が世に出、世界に登場してから、今までに学んできた歴史の事実に疑問を抱き、「『ザ・レイプ・オブ・南京』の真実」「月刊・別冊正論」「閉ざされた言語空間」「ヴェノナ」「ミトロフィン文書」「レフチェンコ事件」「大東亜戦争への道」等を読み、そして、江崎道朗先生の書籍と出会ってから、考えが一変したのも過去15年前後の話です。そして、産経新聞社正論調査室に勤務してから、その考えは、確実なものとして現在に至っています。
大東亜戦争に負けた日本が二度とアメリカに立ち向かわないよう、GHQによる戦後占領政策「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」は日本を骨抜きにしました。面々と受け継がれてきた歴史、精神、道徳、伝統や日本人の愛国心を破壊し尽くすことにアメリカ人がいかに本気で取り組んだのか。それは今もなお「東京裁判史観」として生き続いています。
「戦後プロパガンダの刷り込みは現在にも生きている」
考え方は人それぞれなので、その思想的な部分は何とも言えませんし、論じません。
しかし、少なくとも私は「映画『ひめゆり』」を懐疑的に観、悶々とした気持ちで帰宅しました。
片方面の見方だけではなく、もう一方の側面から見ることも大切です。
そういった意味では、在職中に企画し、運営した「大東亜戦争を語り継ぐ会」で元軍人の方からの実際の体験談を聞いた経験、そして、それを元に色々と書籍を読んだ経験は自分にとって、計り知れないものがあります。
このたび、8月21日(土)、6回目となります「靖國神社昇殿参拝、遊就館見学」イベントを開催します。
東京・九段の靖国神社は、明治2年に東京招魂社として創建され、明治12年に現在の名称になりました。幕末の戊辰戦争以降、国のために戦死した246万余人の霊がまつられています。うち213万人が大東亜戦争の死者の霊です。靖国神社を「軍国主義の象徴」「戦争賛美の神社」などととらえる見方がありますが、決してそのような神社ではありません。国のために尊い命をささげた先祖を弔い、心から平和を祈る戦没者慰霊の中心施設です。先祖の尊い犠牲があったからこそ、今日の平和があることを私たちは実感する必要があると考えます。
内閣府による子供達の自己肯定観の国際比較によると日本は毎回最低で、先進諸国と比べると異常な低さという調査結果が出ています。この異様な低さは、教師の歴史観や国家観、間違った歴史教育が原因です。反対に、正しい歴史教育によって先人に感謝し祖国を誇りに思うようになると、自己肯定観は高くなります。歴史教育が「自分はあるがままで価値がある」「自分が生まれてきたことには意味がある」という思いを育てるからです。
私は、ご先祖様がいてくれたから「私がいる、日本という国がある、日本人としての私がいる」ということを実感し、歴史はご先祖様がつくった日本という国の「国づくり」の歩みだということを認識するべきだと思っています。そして、私達は膨大な数の「命のバトン」を受け継いで、今ここに生きているのです。
戦争で尊いたくさんの兵隊さんが亡くなりました。もし、自分のご先祖様が大東亜戦争をはじめ、過去の戦争で亡くなっていたならば、今ここに自分は存在しません。今ここに存在しているのは、自分のご先祖様の代わりに命を捧げて戦ってくれた先人のお陰様です。自分のご先祖様を供養することはもちろんですが、先人に感謝することも大切なことだと思うのです。
今日の平和な日本があるのは、先の大戦で命を賭して戦ってくれた先人のお陰様。私の祖父も戦争経験者で、生きて日本に帰ってきました。祖父が生きて帰って来なければ、今の私は存在しません。人様からどんなに言われようと、私の中ではこの事実は変わりません。もしかしたら、祖父に変わって戦地最前線で戦って亡くなった方がいたかもしれない。その英霊に感謝の気持ちを捧げることは私にとっては当たり前のことです。そして、遊就館に展示されている学校では教えない、違った側面からの「歴史の真実」に触れていただきたいと思うのです。
そんな思いから6年前から個人的に開催しました。そして、今回は「英霊と沖縄戦」と題した、靖國神社職員の方のお話を聞かせていただきます。その話は「驚き」と「衝撃」を受けるでしょう。それは、ここで言うなれば「映画『ひめゆり』」とは違う、それも実際の経験者からの取材と体験、経験の中で培っている「真実」があるからです。
「靖國神社は色々と問題があるから行ってはいけないところ」と思っていた後輩がいました。私は説得をし、実際に連れていき、本殿において昇殿参拝をし、そして一緒に遊就館を見学しました。後輩曰く「その時は計り知れない衝撃を受けました。今では、過去の見方は偏った見方であった」と証言しています。
「鯛の目、比良魚の目」で見、両方の考え方に触れ、その結果どうするかは、その参加者個人の問題です。
私は今回も参加者皆様と一緒に英霊に対する感謝の気持ちを捧げ、歴史の真実に触れ、そして、気付きを感じていただきたい。そう思って今回も企画します。
申込受付は別件の仕事がクリアし次第、7月1日からとさせていただきます。申込受付の際は、改めて詳細を告知いたします。
参加される皆様に気付きが与えられますように。
DIMEという考え方
2021.05.27
突然だが、「DIME」という考え方をご存知であろうか。
答えを先に言うと、「D」=ディプロマシー(外交)、「I」=インテリジェンス、「M」=ミリタリー(軍事)、「E」=エコノミー(経済)の四つの頭文字をとって「DIME」と呼び、これら四つを組み合わせた総合的な「国家戦略」のことを言う。
昨今、評論家の江崎道朗氏が提唱し、雑誌、講演などでよく書いたり、話をしたりするので、耳にすることが多くなったと思うが、実は、米国、中国はこの考え方で「国家戦略」を進行している。読者の皆さんは米中貿易戦争他、米中対立、そして、EU諸国の中国への対応をどう見ているだろうか。
過去の話になるが、トランプ政権の目的は、「貿易赤字解消」や「知的財産権の保護」といった経済面だけの問題ではなく、「DIME」、つまり、外交、インテリジェンス、経済でのたたきを念頭に、トランプ政権は経済・通商での戦いを仕掛けたのだということであった。
では、日本はどうであったろうか。第二次安倍政権下で創設した国家安全保障会議(NSC)が総理大臣による「DIME」の総合判断がシビリアンコントロールの本体であり、有事における総理大臣の戦略的指導の正体である。そして、「DIME」を考える組織なのである。この組織が縦割りの日本の官僚体制に布石を打ち、米国との安全保障戦略を練っているのである。
月刊正論2020年4月号で国家安全保障局次長だった兼原信克氏が論文「このままではこの国を守れない」を寄稿しているので、チャンスがあれば読んでもらいたい。根本的な考え方が書いてあるので、お勧めする。そして、その中で、安全保障関連法など、NSCが土台を作ったとする中で、「自衛隊の統合運用、防衛産業政策、サイバー民間防衛、科学技術流出阻止問題など、まだこれからの課題です。やり残したことは多く、このままではこの国を守れません」と言っている。日本の安全保障はまだまだ不十分なのである。
では、日本には展望がないのか。
前述の江崎氏の著書『知りたくないではすまされない~ニュースの裏側を見抜くためにこれだけは学んでおきたいこと』で「日本だけが手にしている『三つのカード』がある」と記している。国際政治、特に日米関係における「日本の強み=①莫大な金融資産。②外交力、特にアジア太平洋諸国との関係。③ロジスティック。米国は以上の三つにおいて日本の協力が絶対必要になるという。そして、まかり間違っても「トランプ政権が中国共産党をやっつけてくれるから安心だ」と胡坐をかき、米国頼みに陥ってはならないと江崎氏は言う。そして、今やバイデン政権。日本の在り方は、トランプ政権時よりも役割は大きく、かつ重要である。
では、日本はどうすべきなのか。
その道標として、前述の著書の「おわりに」にそのヒントがあるので紹介する。
「1960年代後半から岸信介首相や福田赳夫首相らのアジア問題のブレーンであった中島慎三郎先生は、一民間人でありながら、その事務所には、ASEAN諸国の政治家や外交官、軍人たちが連日のように訪れていた。私が知遇を得たのは1990年のことで、ベトナム戦争に関与した旧日本軍の元情報将校の話とか、ASEAN結成にかかわる日米両国の対立など、驚くべき話をいくつも聞いたし、その関係者にも合わせてもらった。あるとき、『日本を守るうえで、何が一番大切ですか』と尋ねたら、即座に『敵を知ることだ』との答えが返ってきた。『敵とは誰のことですか』とさらに聞いたら、その答えは次のようなものだった。『日本を滅ぼす力がある国は、ソ連と中国、そしてアメリカの三カ国だ。よってこの三カ国の内情を死に物狂いで調査し、その上前を撥ねるつもりでこの三カ国に立ち向かわないといけない』。本書が国際政治を論じつつ、アメリカの内情を詳しく描いたのは、中島先生の教えによるものだ。間違った情勢分析は国を滅ぼしかねないことを、我々は先の大戦で学んだはずである。その過ちを繰り返してはなるまい」。
4月16日、菅義偉首相とバイデン米大統領がワシントンで会談を行った。大統領就任後、初の対面会談であった。その中で、両首脳は、中国による東・南シナ海での力による現状変更や威圧的な行動に反対することで一致。対中国を念頭に「抑止の重要性」を確認し、同盟の一層の強化を約束した。そして、日中国交正常化前の1969年、佐藤栄作首相とニクソン米大統領の会談以来、日米首脳が共同声明で「台湾海峡の平和と安定の重要性」を強調し、 台湾に言及した。しかし、この共同声明後、中国による台湾、尖閣、沖縄への軍事行動は激しさを増し、一触即発の状況にある。
安全保障が一触即発にあるにもかかわらず、その論議が国会で大きく取り上げられないのはいかがなものか。
「敵を知る」=「中国は2049年までに世界を侵略する」
マイケル・ピルズベリー氏が『Chaina2049』の著書の中で以下のように記している。
「過去100年に及ぶ屈辱に復讐すべく、中国共産党革命100周年にあたる2049年までに、世界の経済・軍事・政治のリーダーの地位をアメリカから奪取する」
中国はこの野望を実現するためにありとあらゆる手段を講じてきている。このことを我々は肝に銘じ、中国の脅威に備えるべきである。そのためにも、中国が「過去100年に及ぶ屈辱に復讐すべく」如何にしたたかに、日本潰しに行動を起こしているかを知り、国際情勢は「DIME」の考え方によって行動を起こしている中、日本の安全保障環境を整備するため、防衛費アップに国会議員は声を大にしていくことをつとに願う次第である。
答えを先に言うと、「D」=ディプロマシー(外交)、「I」=インテリジェンス、「M」=ミリタリー(軍事)、「E」=エコノミー(経済)の四つの頭文字をとって「DIME」と呼び、これら四つを組み合わせた総合的な「国家戦略」のことを言う。
昨今、評論家の江崎道朗氏が提唱し、雑誌、講演などでよく書いたり、話をしたりするので、耳にすることが多くなったと思うが、実は、米国、中国はこの考え方で「国家戦略」を進行している。読者の皆さんは米中貿易戦争他、米中対立、そして、EU諸国の中国への対応をどう見ているだろうか。
過去の話になるが、トランプ政権の目的は、「貿易赤字解消」や「知的財産権の保護」といった経済面だけの問題ではなく、「DIME」、つまり、外交、インテリジェンス、経済でのたたきを念頭に、トランプ政権は経済・通商での戦いを仕掛けたのだということであった。
では、日本はどうであったろうか。第二次安倍政権下で創設した国家安全保障会議(NSC)が総理大臣による「DIME」の総合判断がシビリアンコントロールの本体であり、有事における総理大臣の戦略的指導の正体である。そして、「DIME」を考える組織なのである。この組織が縦割りの日本の官僚体制に布石を打ち、米国との安全保障戦略を練っているのである。
月刊正論2020年4月号で国家安全保障局次長だった兼原信克氏が論文「このままではこの国を守れない」を寄稿しているので、チャンスがあれば読んでもらいたい。根本的な考え方が書いてあるので、お勧めする。そして、その中で、安全保障関連法など、NSCが土台を作ったとする中で、「自衛隊の統合運用、防衛産業政策、サイバー民間防衛、科学技術流出阻止問題など、まだこれからの課題です。やり残したことは多く、このままではこの国を守れません」と言っている。日本の安全保障はまだまだ不十分なのである。
では、日本には展望がないのか。
前述の江崎氏の著書『知りたくないではすまされない~ニュースの裏側を見抜くためにこれだけは学んでおきたいこと』で「日本だけが手にしている『三つのカード』がある」と記している。国際政治、特に日米関係における「日本の強み=①莫大な金融資産。②外交力、特にアジア太平洋諸国との関係。③ロジスティック。米国は以上の三つにおいて日本の協力が絶対必要になるという。そして、まかり間違っても「トランプ政権が中国共産党をやっつけてくれるから安心だ」と胡坐をかき、米国頼みに陥ってはならないと江崎氏は言う。そして、今やバイデン政権。日本の在り方は、トランプ政権時よりも役割は大きく、かつ重要である。
では、日本はどうすべきなのか。
その道標として、前述の著書の「おわりに」にそのヒントがあるので紹介する。
「1960年代後半から岸信介首相や福田赳夫首相らのアジア問題のブレーンであった中島慎三郎先生は、一民間人でありながら、その事務所には、ASEAN諸国の政治家や外交官、軍人たちが連日のように訪れていた。私が知遇を得たのは1990年のことで、ベトナム戦争に関与した旧日本軍の元情報将校の話とか、ASEAN結成にかかわる日米両国の対立など、驚くべき話をいくつも聞いたし、その関係者にも合わせてもらった。あるとき、『日本を守るうえで、何が一番大切ですか』と尋ねたら、即座に『敵を知ることだ』との答えが返ってきた。『敵とは誰のことですか』とさらに聞いたら、その答えは次のようなものだった。『日本を滅ぼす力がある国は、ソ連と中国、そしてアメリカの三カ国だ。よってこの三カ国の内情を死に物狂いで調査し、その上前を撥ねるつもりでこの三カ国に立ち向かわないといけない』。本書が国際政治を論じつつ、アメリカの内情を詳しく描いたのは、中島先生の教えによるものだ。間違った情勢分析は国を滅ぼしかねないことを、我々は先の大戦で学んだはずである。その過ちを繰り返してはなるまい」。
4月16日、菅義偉首相とバイデン米大統領がワシントンで会談を行った。大統領就任後、初の対面会談であった。その中で、両首脳は、中国による東・南シナ海での力による現状変更や威圧的な行動に反対することで一致。対中国を念頭に「抑止の重要性」を確認し、同盟の一層の強化を約束した。そして、日中国交正常化前の1969年、佐藤栄作首相とニクソン米大統領の会談以来、日米首脳が共同声明で「台湾海峡の平和と安定の重要性」を強調し、 台湾に言及した。しかし、この共同声明後、中国による台湾、尖閣、沖縄への軍事行動は激しさを増し、一触即発の状況にある。
安全保障が一触即発にあるにもかかわらず、その論議が国会で大きく取り上げられないのはいかがなものか。
「敵を知る」=「中国は2049年までに世界を侵略する」
マイケル・ピルズベリー氏が『Chaina2049』の著書の中で以下のように記している。
「過去100年に及ぶ屈辱に復讐すべく、中国共産党革命100周年にあたる2049年までに、世界の経済・軍事・政治のリーダーの地位をアメリカから奪取する」
中国はこの野望を実現するためにありとあらゆる手段を講じてきている。このことを我々は肝に銘じ、中国の脅威に備えるべきである。そのためにも、中国が「過去100年に及ぶ屈辱に復讐すべく」如何にしたたかに、日本潰しに行動を起こしているかを知り、国際情勢は「DIME」の考え方によって行動を起こしている中、日本の安全保障環境を整備するため、防衛費アップに国会議員は声を大にしていくことをつとに願う次第である。