映画「めぐみへの誓い」を観て思う
2021.03.07


本日は、映画「めぐみへの誓い」を観てきた。

・・・胸が締め付けられた。
拉致被害者をも取り戻せない日本の安全保障って何だろう。それでいて平和な日本って一体何?改めてそう思った。

この映画の原作は「めぐみへの誓い-奪還-」という演劇で、昭和52(1977)年に横田めぐみさんが拉致されてから「北朝鮮拉致事件」をテーマにした日本映画がいまだ一本も存在しない事から企画がスタート。拉致の残酷さと実態、拉致被害者救出を世界に訴えることを目的として、クラウドファンディングを実施され、多くの方の賛同と共感を得て「本格的な映画製作」が実現することになり、この度、劇場公開された。

監督・脚本の野伏翔氏は長い間、この問題に取り組み、向き合い、そして舞台「めぐみへの誓い-奪還-」を全国公演しては拉致被害者を救うべく啓蒙活動を行ってきた。そして、当時の記者会見で野伏監督は「(横田さんが)元気なうちに何とかしたいという思いがある。横田さんは、いつも電話を掛けると『はいっ!』とすぐに出てくるんです。いつ、めぐみさんが帰ってくるのかと期待して…」と声を震わせながら作品に掛ける思いを語った。監督の思いは我々の想像以上に深いのである。

令和2年2月3日付の産経新聞「めぐみへの手紙」で横田早紀江さんは「お母さんは今、一生懸命に毎日を生きています。体中に衰えを感じ、日々しんどく感じます。そして、病院で必死にリハビリするお父さんの姿を見ると、『一刻も早く、めぐみと会わせてあげなければ』という焦りで全身がしびれます。これが老いの現実です。お父さんと、お母さんだけではありません。すべての家族が老い、病み、疲れ果てながら、それでも、被害者に祖国の土を踏ませ、抱き合いたいと願い、命の炎を燃やしているのです」と綴っていた。
しかし、令和2年6月5日、横田滋さんはお亡くなりになった。享年87。残酷極まりない。

私が販売兼事業担当部長として正論シネマサロンを担当していた平成29(2017)年10月に第9回正論シネマサロン「舞台版『めぐみへの誓い』」を上映した。拉致から40年の節目の年に開催しましたが、当時は北朝鮮からのミサイルが頻繁に発射され、「こういう時期にこのイベントをするのはどうなのか」という声をいたが、私は事業担当部長として、「こういった時期だからこそ、開催し訴えるべきだ」と声高に言ったことを思い出す。

この問題。「捏造」「虚報」とまで揶揄された一本の記事からすべてが始まった。産経新聞元記者阿部正美氏。この記者がいなければ、この事件は国内失踪事案のまま闇の中だったかもしれない。産経新聞の第一報は「虚報」とされ、この重大な人権侵害、主権侵害の国家犯罪への関心は広がることはなかった。

阿部正美氏著『メディアは死んでいた』で、阿部氏は以下の思いを綴っている。

「歴史に『もし』『たら』はないが、もし、あの時、メディアが一斉に報じていたら、今とは違う、今よりずっと良い結果に至っていたのではないか、との思がぬぐえない。一度ならずあった契機に目をつぶり、拉致疑惑の存在を否定、黙殺し続けた事実は消すことはできない。この間、産経新聞の一連の拉致報道に対する誹謗を幾度も見聞した。インターネット上にも事実と異なる情報が散見される。反論もせず、訂正を求めることもしてこなかった。通常、事件取材の経緯は明かさないのが原則だ。しかし、拉致事件に限れば、どう取材したか、しなかったか、どう報道したか、しなかったか、が正しく記憶されるべきだと思うようになった。それらを全て含めて拉致事件と考えるからだ。(中略)北朝鮮が拉致を認め、謝罪したにもかかわらず、全面解決の兆しは見えない。事件が風化しつつある今、私なりの40年目の検証を書き残すことが、老いた元新聞記者にできる最期の仕事ではないか」。

さらに阿部氏は、メディアに携わる人間としての反省もあるとして、前述の第9回正論シネマサロンのトークライブで「拉致を放置したメディアの罪―今だから語る取材秘話」の中で次のように語っている。

「昭和63年に梶山静六国家公安委員長(当時)が初めて『北朝鮮による拉致の疑いが十分濃厚』と国会で答弁した際、産経新聞の扱いはベタ記事でした。これだけのことを政府が明言する背景にはそれなりの根拠があるんですよ。普通はその根拠をめぐって取材合戦が始まり、新しい事実が出てくる。そして世論が盛り上がる。梶山答弁を大きく扱っていれば拉致問題解決は早まったのではないかという思いが消えません。一行も載っていなかった他紙に比べればましだったとはいえ、梶山答弁の重要性を見逃した自分が実に恥ずかしいですよ。めぐみちゃんの事件が明るみに出たのは1997年。『アベック三組』の記事から17年も経っていることがこの事件の異様さを示しています。その責の大半はメディアにあります。金丸訪朝団は北朝鮮で拉致の『拉』の字も言いませんでしたが、それはマスコミの訪朝団も同じでした。だからメディアに『政府は何もしなかった』と批判する資格はない。梶山答弁を見過ごした私にもありません。
(梶山答弁を引き出したのは共産党の国会議員でした。質問の作成に関与していたのが後に除名される兵本達吉氏です)。当時、共産党の国会議員秘書を務めていた兵本さんから電話があり、『あんたが書いたアベックの記事はおもろいな。清張の小説よりおもろいで』と言われました。産経と共産党は犬猿の仲だったから、電話を受けた私はびっくりしました。その後、当時の国会議員会館で兵本さんとお会いしました。在室していた共産党職員に『産経の記者です』と伝えるや、部屋中が異様な雰囲気になったことを覚えています。ただ、兵本さんは『拉致は重大な主権侵害であり、重大な犯罪である。共産党も産経も朝日もあるか』という一貫した考えをお持ちでした。私も同感です。容共も反共も関係ない。犯罪を追及・解明することは新聞記者なら当たり前の話です」。

事件当時、この事件を追いかけていたのは、阿部正美氏以外に朝日放送、そしてアエラの記者の三人だけであった。

このたびの上映公開に際し、野伏監督をはじめ、関係者の皆様にはこのように映画上映に漕ぎ着けたご苦労に敬意を表すとともに、私も微力ながらクラウドファンディングにご協力させていただいた。

今朝まで元気で学校に向かっていった我が子が、突然、消息不明となり、家に帰ってこない状態を想像してみてほしい。その家族は本当に平和状態だと言えますか。戦争がない状態だけが平和な状態なのか。他国に連れ去られた拉致被害者を救えないでどうして平和だと言えるのか。そして、国民はこの問題を我がことのように捉えているのだろうか。
こういった難解な問題を真剣に考えた千葉県八街市立朝陽小学校の5年生が令和元年、産経新聞東京本社を訪れ、「横田めぐみさんへ」と題した75人分の作文を届け、被害者の帰国を強く願う思いを綴ってくれた。小学生を指導した先生と真剣にこの問題に取り組んだ小学生に敬意を表すとともに、このように我が事のように捉える日本人が増えてくることを心から願う。

子供を殺める親、平気であおり運転をする者、「皆がしているから自分も」と迷惑を顧みず、事の真意を考えないで行動する者など、不道徳なニュースが毎日報道される。個人の主張だけが尊重され、公の問題は無関心。本当に考えさせられる。

日本は確かに豊かになった。しかし、日本人として大切な何かを失っている気がしてならない。私も他人事ではなく、我が事のように考え、そして拉致被害者奪還まで尽力していくと思いを新たにした本日である。

何れ、寺子屋「玉川未来塾」の企画するイベントで「映画『めぐみへの誓い』」を取り上げさせていただきたいと思う。こうして実行に移していくことが、この拉致事件解決の一歩につながるのではないかと考えるのである。そして、平成29年に実施した第9回正論シネマサロンを開催するに、上島元正論編集長に言われて叶わなかったことを実現し、少しでも拉致事件解決に尽力したいと誓ったのだった。
2021.03.07 18:33 | 固定リンク | その他
「映画『二宮金次郎』上映&講演会」御礼
2021.02.25
去る2月23日(火・祝)「天長節」の良き日、「第二回 学校では教えない日本人の物語 映画『二宮金次郎』上映&講演会」を開催いたしました。
ご招待者、一般来場者、スタッフ、そしてライブ配信での観覧者も含め、このコロナ禍でありながら有り難いことに、約300人の方々にご覧いたきました。ご来場、ご視聴いただきました皆様、誠にありがとうございました。

当日は、映画「二宮金次郎」の五十嵐監督から冒頭にご挨拶をいただき、映画の見どころや、裏話などをご披露いただき、これから観る映画のワクワク感に浸ってからの映画鑑賞。
二宮金次郎の名前は知っているが、実際にどんなことをした人なのか分からなかったという来場者が多くいらっしゃいましたが、会場は、感動のシーンの連続。すすり泣く声が響きわたり、感動で涙が止まらなかったという人のオンパレードでした。

休憩をはさみ、講師の清水崇史さんの講演。演題は「令和によみがえれ!二宮金次郎」。



同時にライブ配信も行い、「報徳とは」「なぜ銅像が作られたのか」などのエピソードを交えながら、60分間熱く語っていただきました。なかでも「Take&Give」の精神について語られた内容は聞き入ってしまうほど。そして、「金次郎の精神のもと、日本を元気にしていきましょう」と結びました。



清水崇史さんの講演内容は、ツイキャスでライブ配信をしましたが、3月9日まで、録画ではありますが配信されます。
話を聞きたい方は、以下のURLより入ってみてください(1000円となります)。
https://twitcasting.tv/f:3545491502230010/shopcart/54023

なぜ、今、二宮金次郎なのか。
コロナ禍であったからこそ映画を観て、講演を聞いていただきたいと思ったのには理由がありました。
新型コロナウイルスの陽性者反応が出た方や、患者さんを救うために日々頑張ってくださっている医療従事者の方々がいじめにあったりしたニュースが頻繁にテレビを賑わしていました。「何で、こんなことが起きるのか」と憤りを感じたほど。日本人はこんなにも心が貧しくなったのかと悲しい気持ちになったとき、「先人たちはそんな日本にするために命を賭したわけではない」と「偉人の教えを今一度、世に伝えたい」との思いからでした。

明治以来、国定教科書に最も多く登場した明治天皇に次いで多かったこの二宮金次郎。かつて、全国のたいていの公立小学校では、二宮金次郎の石像が立っていました。勤勉の大切さや、勉強はやる気があればできることを子供達に教えるのがこの像の目的でした。しかし、その像は年々姿を消しています。数年前に歴史教科書から坂本龍馬ら45人の偉人が消える!?というニュースが報道されました。減りゆく金次郎像とともに本来日本人が大切にしてきた「何か」が失われつつあるのではないか。そんな状況に私自身、危惧しておりました。

私は「映画『二宮金次郎』」を2つの視点で観覧していました。
①我欲にまみれた人間の性
②至誠(真心)で接した人の生きざま

新型コロナウイルスに感染した方、医療従事者への差別や最近では問題発言で辞任した森会長へのいじめに近いマスコミ報道。「これらについてどう思いますか?」。私は謝辞の挨拶で、そう述べさせていただきました。



今の日本人には、「相手の気持ちになって考える」「相手に寄り添う心」が不足してきているのではないかと思うのです。そして今回は、このイベントを通じて、これらの他に、今の私たちに足りない何かに、二宮金次郎の映画、そして講演を通じて気づかせていただきました。

戦後日本は確かに豊かになりました。しかし、大切な何かを忘れてしまっているのではないか、心は貧しくなった者も少なくはないのではないか、そう思うのです。
今回のこのイベントが、ご参加いただきました皆様にも、先人が築いてきた思いを感じ、正しい歴史を理解し、そして忘れてしまっていた日本人の心を呼び戻していただきましたら、こんなに嬉しいことありません。

寺子屋「玉川未来塾」はこれからも、正しい歴史を理解する一助として、失われた日本を取り戻すため、尽力して参ります。そして、日本にとって良きことを実施していきます。
これからも、寺子屋「玉川未来塾」を応援いただきましたら幸いです。どうぞよろしくお願い申し上げます。
2021.02.25 18:07 | 固定リンク | イベント
「二宮金次郎」講演会、ライブ配信決定!
2021.02.19

先にご案内しております、「映画『二宮金次郎』上映&講演会」(2月23日開催)もこのコロナ禍における緊急事態宣言延長の影響をまともに受け、告知も産経新聞、月刊Hanada、月刊正論、そしてしがく新聞にもチラシを同封していただいておりますが、なかなか苦戦しております。
お申し込みしていただいた方から「緊急事態宣言延長のため、キャンセルいたします」とのご連絡もいただきました。
色々と悩み、考えた挙句、当日来られない方々のために、「それでも、このコロナ禍において『何故、今、二宮金次郎』なのか、ぜひ、お伝えしたい」との思いから、映画上映後の清水崇史さんの講演の模様をライブ配信いたします。

二宮金次郎は、生涯 600 余の農村の復興に成功しました。それは「勤労(よく働く)」「分度(節度ある生活)」「推譲(人の為になる)」の実践でした。その考え方は、渋沢栄一、松下幸之助、土光敏夫、稲盛和夫など多くの経営者や日本人に語り継がれてきました。しかし、このコロナ禍により、人々の心もすさみ、混乱極まりない現代社会において、改めて二宮金次郎が実践した「分度」「至誠」「積小為大」など、その生涯で最も大切にした「報徳」の精神が今の日本人にとって大切なことのひとつだと考えます。そして、今回のイベントを通じて、二宮金次郎が提唱する「報徳」とは如何なるものかを学び、忘れ去られた日本人の心を呼び戻す機会としていきたいと思います。

今、このコロナ禍だからこそ、二宮金次郎の精神が必要である。
土光杯弁論大会で最優秀賞「土光杯」を受賞した清水崇史さんが、長年、二宮金次郎を研究してこられた経験と知識をもとに、熱く語っていただきます。

お申し込み金額は1000円。
2月23日(火・祝)14時40分より講演会は始まりライブ配信いたします。

お申し込みは以下のURLより可能です。
https://twitcasting.tv/f:3545491502230010/shopcart/54023

ライブ配信自体は初めての試みですが、「twitcasting」を利用します。この配信にも業者に依頼し、執り行うことといたしました。

「令和の今だからこそ、二宮金次郎の精神を取り戻したい」

コロナ禍のため、足を運ぶことが困難な方々でもネットを通じてご覧いただけますので、ぜひ、ご応募ください。
2021.02.19 09:01 | 固定リンク | お知らせ

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